佐久山温泉 「きみのゆ」は、大田原市佐久山地区にある温泉で、大田原というより矢板に近い場所にある。大田原市周辺から福島の矢吹あたりまで、地層なのか日本でも有数なPHの高い高アルカリ性の温泉群が存在しており、ここ佐久山温泉もそのひとつである。
高アルカリ性の温泉は、やませみ氏の温泉の科学によると、温泉の溶存成分が多いと高アルカリ性温泉になりずらく、自然と単純温泉になる場合が多い。ここ佐久山温泉も、温泉分類上アルカリ性単純温泉となる。しかし、アルカリ性の温泉にしては塩化物成分も含有しており、重曹泉のぱさぱさ感もなく、うまくコーテングされた温泉の味わいである。
温泉は、掛け流し湯で入浴感から加水もされていないだろうし、温泉投入量も多く、その点では優秀なる日帰り入浴施設なのだろう。入浴感はPH9.2と日本でも稀な高アルカリ性の温泉で、この泉質の弱点は温泉の湧出量が少なくかつ低温泉になりやすいといったものだが、ここは泉温が44度とちょうどよくかつ温泉湧出量もたぶん多いのだろうか幸運にも、ここの温泉の素質のよさを十分に 味わえる温泉施設である。
高アルカリ性温泉の特徴であるお湯は、表現するなら指と指との間に石鹸水を希釈したようなにゅるにゅるな感触があり、温泉の鮮度が非常に高いので、嫌味のない味わい方ができる。もうひとつの特徴は、高アルカリ性のお湯の独特の体に負荷をかけたような、疲労感があり成分以上のよさがある。酸性泉なども同様な傾向があるので、温泉成分だけでなく水のPHなども考慮しないと温泉そのものよさが表現できない。
面白いことに、館内にやさい売り場みたいに陳列されていて、これがあると湯治場的雰囲気を醸し出している。東北の湯治場によくみかけるものだが、湯治客がいるような、よい湯にある。ここ栃木は東北の玄関口でもあるので、そんな地域性もあるのだろうが、これが人気施設、よい温泉のバロメーターかもしれない
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参考文献 やませみ氏
温泉みしゅらん 温泉の科学 5-6 アルカリ性泉
http://www.asahi-net.or.jp/~ue3t-cb/bbs/special/sience_of_hotspring/sience_of_hotspring_5-6-1.htm