2013年2月24日日曜日

中塩原温泉「 芙蓉荘」

 栃木で一番の温泉はというと、塩原温泉郷と即答で答えられる。源泉数、湯量、質などが他の栃木の温泉郷を圧倒していて、栃木いや関東を代表する温泉郷となっている。
 しかし、塩原温泉を歩いていると、以前訪れたときに比べ、やはり元気がないのが気になる。日本の温泉郷の特徴として、旅館の主たちが中小企業主的感覚で旅館業を経営していて、 経済用語でいう顧客満足度をあげる努力を怠っているのが、今日の温泉旅館の衰退にあたるのではないかと思う。

 お客目線でいうと、我々みたいに過度の温泉の質のよさを求めている温泉マニアでさえ、どんなに温泉がよくても、旅館が綺麗でなかったり(新しい古いでなく)最低限の設備が整ったりしていなければ、宿泊する気分にはならないのは、ごく自然なはなしである。
 つまりは、利益が出たなら設備の再投資を常に行わなければならず、それを怠ると自然と客足が遠のき、昨年まで常連でいた人が来なくなりどうしたものかと考えるが、それはほんの小さなこと積み重ねの流れである。つまりは、宿泊行為は自分の住んでいる環境より、よりよい環境を求めることなのである。

 塩原温泉の衰退はやはりその温泉の質のよさに安住していまい、お客さんの要望に応えられないのが要因でここを訪れるたびに旅館の廃業が目につく、物凄く温泉はいいし、東北道のICも近く交通の便も関東ではトップクラスなのだがなにかが足りない。今後の温泉郷のイメージアップを含め新生塩原温泉の復活を願わずにはいられない。

 中塩原温泉「 芙蓉荘」は、中塩原温泉にあり箒川の国道側の反対側にあり源泉的にも一軒宿の趣である。建屋は派手さはないがここの旅館主の性格なのか旅館の裏手でさえ綺麗に整頓されていて、居心地のいい空間があり家庭的な雰囲気も大事にしており地元の人の寄合がちょど重なっていたが、ここの旅館の立ち位置なのであるのかと思う。
 ともかく、旅館の中が綺麗でマキストーブから浴場まで続く廊下もぴかぴかでここまで綺麗だと感動さえする。

 温泉は成分総量1.6g/kgの重曹食塩泉だが硫酸塩成分も豊富に含まれており、多くの温泉主成分で構成されていて、長湯治向けの温泉で、副成分のメタケイ酸成分との相乗効果で、塩原温泉の実力の高さは間違いなく、関東平野の高深度掘削泉と比べてみても、比べようにならないくらい効能は高い。
 十分宿泊したい宿である、このように大資本でない家庭的な宿は本当に安らぎはある、塩原にはこのような家庭的な宿は探せば沢山ある。